面接初日に、私は正々堂々と、これから仕事場になるガソリンスタンドで給油をしたわけだが

その際に、給油を担当していた、これから先輩になる人物に挨拶でもしてやろうか。

実際は、社長から設備の説明を受けている最中にキョロキョロと見てきたので、新入社員が気になるのだろう。

一通り、設備の説明が終わって、暇な時間ができた。

本来は、先輩側からフランクな挨拶をするのが一般的だと思うが、この会社の先輩は気が利かないようだ。

そのため仕方なく、私の方から先輩に挨拶に行くことにした。

おつかれさんです。

人の第一印象は3秒で決まると言われている。

私は、この先輩の性格は一瞬で見抜いた。

結婚もしていなければ、友達もいない、無趣味で、仕事しか自分の価値を見出せないと。

※本当に結婚していない

まるで、私が真面目を演じてきた6年間と同じ目をしている。

あっおつかれさんです。

私は、人と深く関わるというのが、好きではない。

初日のあいさつ程度ならこの辺で十分だろう。

しかし、一つ気になったことがある。

それは先輩は「ずっと立って給油をする車を待っているのだ」

立って給油をする車を待とうが、ベンチに座って給油する車を待とうが、結果論として変わりはない。

逆に私の立場からすると、スタンドに立ちっぱなしのスタッフがいると入りにくい。

ずっと立ってますけど、ベンチに座らないんすか?社長も座って良いって言っていますけど

私がこう質問すると、このような典型的真面目な答えが返ってきた。

俺は立ってても苦じゃないし、やゆゆ君は座っててもいいよ!

何を言っているのだ。

話を聞けば、この先輩は7時から出社して、退社するのが19時らしい。

休憩を一時間挟んだとしても、超時間立ちっぱなしになるではないか。

それが苦で無い訳がないだろう。

しかし、実際に、私も真面目会社員時代には、これくらいやっていたかもしれない。

だが、今回の調査は「真面目と不真面目はどちらが幸せか」を検証している。

かなり心は痛むが、先輩が立っている間、私は用意されていたベンチで給油の車を待つことにした。

その間「私はなぜこの先輩は立っているのか?」という疑問について考えていた。

確かに車の誘導に関してはメリットはあるかもしれないが、小さなガソリンスタンドで大きく誘導することなんて皆無だ。

そうなると、この先輩は「社長や同僚」から「給料泥棒」と良く思われたくない一心で立っているのだろう。

まぁ少しはコミュニケーションをとることにしよう。

先輩!!俺が持参した塩飴でも食べます???

秋場の塩分補給は重要だ。11月だが私は賞味期限切れで善意で持参した塩飴を先輩におすそ分けすることにした。

しかし、帰ってきた答えは意外なものだった。

大丈夫!逆にのどが渇くからね!いらないよ!
しかももう11月だよ!寒いからねw

私にはそんな言葉など通用しない。塩分補給は重要だからだ。

投げるから受け取って!

先輩は、半笑いでこちらを見てくる。

食べ物を投げるなど本性の自分からしたら言語道断であるが、不真面目人間なんてこんなもんだろう。

10m程度の距離だが、先輩は見事にキャッチした。

ありがとね!

よく分からないが、一様、先輩とのコミュニケーションは取ったということで良しとしよう。

私自身の本性は真面目であるが、他人に対して期待も信用もしていない。

唯一、コミュニケーションを取ったのはこれが最後となるだろう。

これから、この先輩や社長、パートの従業員には失望されていく演技をするのだから。

調査結果

日本人の性格として、非常に他人の目線を気にするという悪習慣がある。

それは「社会人としての常識」というものに感情を支配されているからだ。

もし、この上司が社長や同僚、後輩がいなければ、呑気にベンチに座って、給油をする車を待っていただろう。

正直に言うと、他人というのは自分が思っている以上に、自分以外に興味はない。

私は、不真面目を演じて、給油に来た車が来た時だけベンチから立ち上がったが、11時間立ちっぱなしの先輩はきっと辛いだろう。

その一方で、不真面目を演じている私は、ベンチに座りっぱなしなどで何のストレスも無いという訳だ。

他人の目を気にして体に鞭を張っても、不真面目であっても給料面での待遇は変わらないのだから。

この話は全て実話に基づいています。