そろそろ車のATFオイルを交換したいんだよね!

今までATFオイルは交換したことがあるのかい?

納車してから10万キロ無交換だから愛車のために、あらゆるオイルを一気に交換しようと思ってね!

う~ん…。今回はATFオイルの交換は止めておいた方が良いかもしれないよ!最悪の場合、壊れてしまうかもしれないからね!

車には様々なオイルが各駆動系に適した用途で使われています。

例えば、エンジンオイルやデフオイル、ブレーキオイルなど、車とオイルは密接な関係があり、どれか一つ欠けても車は故障してしまいます。

そして、基本的に各部に使われているオイルは劣化するものであり、定期的な交換が必要なことはご存知だと思いますが、交換しなければいけないオイルはエンジンオイルだけでは決してありません。

その中でもATFオイルは無交換の場合には10万㎞程度で、変速ショックが大きくなるトラブルが起きるリスクがあるために交換を推奨している訳ですね!

しかし、ATFオイルに関しては交換をすると故障してしまうことも…。

今回はATFオイルを交換する際の注意点や、交換することによる故障の原因について解説しましょう!

そもそもATFオイルはどんな働きをしているの?

ATFオイルの知られざる性能と働き

ATとは「オートマチックトランスミッション」の略でトルクコンバーター、プラネタリアギアユニット、油圧制御装置などの装置が合わさって構成されています。

詳しく説明すると、辞書並みの解説となるので今回は控えますが、どれも車にとって大切な部品です。

その中でもATFオイルと呼ばれるフルードは、トルクコンバーターの動力を伝達する媒体。

プラネタリアギアユニットの歯車やクラッチの潤滑。

油圧制御装置の作動油としての役割など、エンジンオイル等とは異なった性質を持ったオイルとなるのです。

ATFオイルの役目

トルクコンバーターの動力を伝達
プラネタリギアユニットの歯車・クラッチの潤滑
油圧制御装置の作動油

そして、ATFオイルは、エンジンオイルとは異なり、潤滑だけでなく作動油としても利用されてます。

作動油としての特性もあることから、ATFオイルは、他のオイルに要求されるものとは異なった点がある訳ですね!

特にトルクコンバーターと呼ばれる部品は摩擦特性やオイルの粘度に関しては繊細であり、正しいATFオイルの知識を持って交換しないといけません。

ATFの求められる4項目

粘度指数が適正であること
摩擦係数が適正であること
低温流動性が優れていること
酸化安定性が優れていること

上記のリストの通り、誤ったATF交換をするとミッションにとって深刻なダメージを与えてしまうので、交換の際には注意が必要となるのです。

では、このような重要な役割をしているATFを交換するメリットと、絶対に知っておくべき注意点を、整備士の視点で解説していきたいと思います。

ATFを交換する際に知っておくべき4項目

ATFオイルの特性

この章では、これからATFオイルを交換する際に知っておいて欲しいポイントをまとめましたので、参考にしてみてくださいね!

ATFは汚れにくいオイル性質がある

ATFオイルというのは、エンジンオイルと比較しても「汚れにくい」特性をもったオイルで、数千キロ走った程度では全くと言って良いほど汚れません。

しかし、オイルである以上、酸化による劣化は当然起きますので10万㎞も走ると、新品のオイルと比較して赤黒く汚れてしまいます。

そうなると、ATFオイルの劣化による変速ショックのが大きくなるなどのトラブルが発生してしまうという面から交換をした方が良いと言われています。

ATFは一度の交換では絶対に抜けない

エンジンオイルは最終的にオイルパンに自然落下しますので、一度の交換でほぼ全量交換が可能ですが、ATFとなると話は変わってきます。

ATFオイルが通っているオイルラインの形状というのは非常に複雑な形状をしており、一度の交換では半分にも満たない量しか交換することができません。

ATFオイルチェンジャーという圧送式で全量交換をしたとしても、必ず古いオイルは残ってしまうものであり、完全に交換したい場合には2~3回に分けて交換をする必要性があります。

ATFを交換するとクラッチ滑りのリスクもある

「ATFを交換したらクラッチが滑るようになってしまった」という相談を受けることもありますが、この理由として一番に考えられることは何でしょうか?

断定はできないのですが、クラッチディスクとクラッチプレートが古いATFに馴染んでおり、新しいATFを入れた際にクラッチディスクが摩耗して、クラッチが滑るようになってしまった。と推測できます。

特にATFは粘度が重要であり、古いATFと新しいATFとでは粘度指数が若干変わるだけでも、このようなトラブルは発生してしまいますので、交換する際には同じ粘度指数のATFと交換することが大切です。

ATFは車種に応じた純正品を使用すること

オートマチックトランスミッションは構造が複雑で、車種によって種類も異なる仕組みを採用しています。

「摩擦特性」「耐熱性」「耐摩耗性」

これらの特性は、各メーカーの車種に一番適した配合の純正品を使うことが重要であり、全ての車両に共通して使用できるATFというものはありません。

もし、純正品ではない誤ったATFを入れてしまうと摩擦係数の違いからトルクの伝達不足、クラッチ滑りの原因となってしまいます。

誤ったATF入れた場合

トルクの伝達不足
クラッチ滑り
加速不良
クラッチの寿命低下
ATFオイルの早期劣化

誤ったATFの誤交換はこのようなトラブルの原因となってしまいますので注意が必要になります。

上記のリストのように、誤ったATFを入れるとトラブルの原因となるということを理解しておきましょう!

ATFを交換しない方が良いケース

ATFの交換をお勧めしないケース

ATFの交換を検討する理由としては「変速ショックが大きくなった」という理由や「大切な車をしっかりとメンテナンスしてあげたい」など、様々な理由があるとおもいます。

しかし、状況によってはATFオイルの交換は止めておいた方が良いケースもありますので、状況に応じて交換を検討するということが大切です。

整備士としての意見を言わしてもらうと、下記の2点に当てはまる場合には、リスクを説明した上でお断りをするか、自己責任で交換をするようにしてもらっています。

7万㎞まで一度も交換をしていない

ATFオイルを7万㎞まで一度も交換をしていない場合には、新しいATFに交換してしまうと、100%ではないですが、ミッションが故障してしまうケースがあります。

その理由として、新しいATFオイルには浄化作用というものがあり、バルブボディーと呼ばれるオイルの経路に付着した汚れを浮かしてしまい、結果としてオイルが詰まってしまうということがあるためです。

バルブボディー内部

人間に例えると、脳の血管が詰まってしまう脳梗塞が車のミッションのバルブボディーと呼ばれる部品にも起こるということですね。

これは、交換してから直ぐに症状が出るという訳ではなく、交換してから一年後に故障することもありますし、逆に廃車をするまで問題ない場合もあります。

中古車を購入して、交換履歴が不明な場合

中古車を購入して、メンテナンスノートにATFオイルの交換の履歴がしっかりと残っており、定期的に交換していた車であれば良いのですが、全く記載が無く交換の有無が不明な場合には交換は控えた方が良いです。

例えば、走行距離が7万キロ弱の中古車を購入して、全くATFオイルの交換がされていないと、上記で説明したようなバルブボディーの詰まりが発生するリスクが高まってしまいます。

そのために、中古車を購入して交換履歴が不明な場合で走行に特に支障が無い場合にはATFオイルの交換は止めておきましょう!

まとめ

7万キロまで一度も交換をしていないケース
中古車を購入して、交換履歴が不明なケース

もし、上記のケースに当てはまっている場合でもATFオイルの交換をしたい場合には、最寄の整備工場に相談してみてくださいね!

以上、ATFオイルの注意点を説明していきました!整備工場に頼めば、交換はしてくれるとは思いますが、上記の2点に当てはまっていると高確率で断られることが多いと思います。もし、交換をする場合はそのリスクを理解した上で検討してみてください!